真夜中の虹(page 27/280)[真夜中の虹]
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概要:
27ものだった。それが今度からは、田舎道をトボトボ歩いて一時間という環境に変わった。学校までの長い距離を転校生として俯いて歩く毎日。彼の心の中に「不満」という思いが広がるのに、あまり時間はか....
27ものだった。それが今度からは、田舎道をトボトボ歩いて一時間という環境に変わった。学校までの長い距離を転校生として俯いて歩く毎日。彼の心の中に「不満」という思いが広がるのに、あまり時間はかからなかった。一カ月が過ぎた頃、母親が複雑骨折で東京の病院に入院することになった。アメリカ人の義父とその子供は、一旦東京に戻り、残された僕の三人の子供たちは、彼らだけで千葉で暮らすことになった。僕も何度か様子を見に行ったが、東京と千葉の外房では、彼らの生活を完全にフォローできる距離ではなく、二週間に一度、顔を出すのが精一杯だった。息子は学校では転校生としての洗礼を受け、家では姉たちのストレス発散の標的になった。唯一甘えることのできる母親は入院中で、父はたまにしかやってこない。彼の心は徐々に歪んでいき、前妻が退院して家に戻ったときには、立派な苛いじめられっ子になっていた。引っ越してから最初の秋。あの子が学校をやめます、と突然、前妻から電話があった。すぐに外房に向かい、息子に会った。「どうしてもやめるのか、小学校」「うん」「担任の先生には話したのか」