真夜中の虹(page 269/280)[真夜中の虹]
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概要:
269食で生きるなら、野垂れ死には覚悟しなさい。そう篠木さんは教えてくれた。僕は、野垂れ死ぬまで生きます。....
269食で生きるなら、野垂れ死には覚悟しなさい。そう篠木さんは教えてくれた。僕は、野垂れ死ぬまで生きます。お棺の中の篠木さんに向かってそっと手を合わせ、その頬に触れてみた。ふくよかだった頬には、すでに弾力はなく、堅くなった大福を触っているようだった。御遺体から離れると、それまでお会いしたことのなかった篠木さんの奥様と目が合った。その人は、優しく微笑みを向けてくれた。その笑顔はまるで篠木さんのようだった。篠木さん、さようなら。ありがとうございました。またどこかで。外に出ると、空は曇っていたが、心は少しだけ晴れていた。