真夜中の虹(page 265/280)[真夜中の虹]
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265しかし運命とは奇妙なもので、いつしか僕と三浦さんは疎遠になり、三浦さんと中村さんの蜜月も長くは続かなかった。その後、中村さんは三浦さんの元を去り、しばらくして、僕が所属する....
265しかし運命とは奇妙なもので、いつしか僕と三浦さんは疎遠になり、三浦さんと中村さんの蜜月も長くは続かなかった。その後、中村さんは三浦さんの元を去り、しばらくして、僕が所属するプロダクションに引き抜かれて、僕のマネージャーになった。「三浦さんが亡くなりました…」それを知らせてくれたのも中村さんだった。いつも一線で活躍し、肉とスキューバダイビングが大好きで、男であることに誇りを持っていた三浦さん。しかし、今度ばかりは相手が悪かった。ストレスの多い役者の世界は、彼の身体を蝕み、ガンに冒し、最終的に命を奪った。人生は本当に奇異だ。あの日、日本テレビのパーラーで、「ああ、君に会いたかったよ」そう言って右手を握りしめてくれた三浦さんはもういない。そして、あのとき、三浦さんが右手を握りしめてくれなかったら、僕はいまここにいない。それが良かったかどうかはわからないし、考えても仕方がない。ただ言えることは、人は死ぬ。いつか必ず死ぬ。でも、そのときがいつなのか、それは誰にもわからない。