真夜中の虹(page 261/280)[真夜中の虹]
このページは、電子ブック 「真夜中の虹」 内の 261ページ の概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると、今すぐ対象ページへ移動します。
概要:
261初めてのプロデュース公演、そして見知らぬ若者たちとのコラボレーション。そんな初めてづくしのものづくりに最初は戸惑ったが、最終的にキャストとスタッフ一丸となり、ひとつの着地点へ向け突っ走った。一九九....
261初めてのプロデュース公演、そして見知らぬ若者たちとのコラボレーション。そんな初めてづくしのものづくりに最初は戸惑ったが、最終的にキャストとスタッフ一丸となり、ひとつの着地点へ向け突っ走った。一九九七年、渋谷のXPというカフェで「マダム・ジョージ」という芝居を上演。そして燃え尽きた…。続けて、一九九九年、島尾敏雄原作の『死の棘』を「死の棘1999」として上演。初めての劇場進出公演。場所は新国立劇場の小ホール。主演のミホとトシオには、アングラの女王と言われている美加理とアングラの帝王と言われていた飴屋法水。これまでのパフォーマンスに近い演劇とは違い、所謂「演劇」というものに真正面から取り組んだ。結果、この作品がある程度認められ、文化庁の芸術文化振興基金から助成金が出るようになった。それまでは、文化振興基金なんか貰うなんて日ひよ和ったことはできないと、貰っている劇団を馬鹿にしてきたが、いざ助成の対象として認められると、それはそれで嬉しいものだった。さあ、これから演劇の世界で新しい風を吹かせようと思った矢先、私生活では離婚。妻は外国人の旦那と子供たちを連れて千葉へ引っ越した。誰もいなくなった家には、ゴミとガラクタがこれでもかと散らかっていた。ゴミの山を呆然と眺めていると、毛穴から「嫌な感じ」が沸き立ち、そのまま身体に纏まとわり付いて離れなくなった。肉体と精神の両方をやられ、その場に立っていられなくなった。