真夜中の虹

真夜中の虹(page 260/280)[真夜中の虹]

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260第五〇話「C型肝炎」初めて演出をしたのは一九九一年、三十一歳のときだった。場所は、佐賀町エキジビット・スペース内にあるBisというカフェ。既製の劇場を選ばずに、アート感覚あふれる場所....

260第五〇話「C型肝炎」初めて演出をしたのは一九九一年、三十一歳のときだった。場所は、佐賀町エキジビット・スペース内にあるBisというカフェ。既製の劇場を選ばずに、アート感覚あふれる場所で演劇を打ち、アートと演劇の融合を目指す。演出方法も既製の演劇的なやり方ではなく、映画の演技方法を取り入れた。声を張ることなく、普段の喋り方で台詞を言わせ、大袈裟な演技でなく、あくまで自然な演技を求め、その上で感情をより過剰に表現させた。演劇というよりはパフォーマンスに近いものだった。いろいろ批判の声も多かったけれど、自分を信じて公演を打ち続けた。演出四本目でそれは報われた。田口トモロヲ氏を迎えて演出した「ZOO[動物園物語]」(五反田スペースATTIC)が好評を得たのだ。でもいいことは長くは続かなかった。次の企画「CHIEKO[智恵子抄]」がさまざまな理由から本番直前で中止。ならばイギリスで公演をしようと試みるも、これも挫折。もう演出はできないのか…。そう思っていたとき、恵比須でカフェを経営していたアート系の集団から演出の依頼が舞い込んだ。