真夜中の虹

真夜中の虹(page 257/280)[真夜中の虹]

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257第四九話「離婚」何年も続いた講との関わりを断ったことは以前に書いた。既存の新興宗教はほとんどそうなのだが、最初の教義は時と共に姿を変え、気がつくと、信仰心の篤さ=社会的な地位=力、とい....

257第四九話「離婚」何年も続いた講との関わりを断ったことは以前に書いた。既存の新興宗教はほとんどそうなのだが、最初の教義は時と共に姿を変え、気がつくと、信仰心の篤さ=社会的な地位=力、という方程式が成立する御利益信仰の化け物集団に変容していく。僕の入っていた講でも、知らないうちに御利益信仰でもかまわないという方針に変わっていた。僕が欲しかったものは、地位や金(正直言ってこれは、少しは欲しいが)や名誉ではなく、安心立命。そんなものは死んだって手に入らないのだが、神や修行だと言っていれば簡単に手に入ると思っていた自分が恥ずかしい。しかし、ひとつひとつ丁寧に自分を見つめて生きていけば、それに近付くことはできる。しかし、それは個人単位でできること。もし生きていくのが不安になったら、ひとりで三輪山の風に吹かれに行けばいい。安心立命に近づくのに組織は要らないのだ。いままで生きてきて、地位と名誉と金の三つを手にしている人に、誠実で素敵な人はいなかった。僕が出会った誠実で素敵な人たちというのは皆、控えめで貧しく、それでいて心に余裕の