真夜中の虹

真夜中の虹(page 251/280)[真夜中の虹]

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概要:
251でこっちが下手にでなきゃいけないんだ。そんなに甘えてばかりいるから、お前たちは学校にいられなくなるんだ。人間は、嫌なことも飲み込まないと生きていけないんだよ!悪しき言葉が頭をグルグル巡る。いけないと....

251でこっちが下手にでなきゃいけないんだ。そんなに甘えてばかりいるから、お前たちは学校にいられなくなるんだ。人間は、嫌なことも飲み込まないと生きていけないんだよ!悪しき言葉が頭をグルグル巡る。いけないと思いつつも、グルグルは止まらない。とうとう僕はすべてを放棄し、持ち時間の三時間、頭の中のスイッチをオフにした。演劇を教えていると、過去に引きこもりだった人間によく出会う。そんなとき、当人にまず考えさせることは、自分がどこに立ち、何を欲し、どこへ行きたいかということ。それをしっかり確認させることから始める。次に自己分析。皆、自分からは逃げたい。自分の悪いところは見たくない。しかし、逃げていても何も始まらない。まず己を知ること。そうすれば、自ずと次の一歩が見えてくる。でも、これをやるには時間がかかる。たった二日やそこらでは駄目、もっと時間がないと…。結局、何もできずにワークショップは終わった。はっきり言って、子供たちのことを少し甘く見ていた。僕の予想ではこの二日間は、子供たちからは慕われ、楽しく笑いの絶えないワークショップになるハズだった。現実は逆だった。どうやら僕が思っていたよりも、子供たちの傷はずっと深かった。子供たちの心を簡単に掴つかめると思っていた自分が恥ずかしかった。