真夜中の虹

真夜中の虹(page 248/280)[真夜中の虹]

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概要:
248アートセミナーが行われる会場は、山の中にある八角館という建物の中にあった。中に入ると八つある側面はすべてガラス張りで、外には雪が降っていた。ワークショップの時間になった。子供たちを集め、まずは軽く....

248アートセミナーが行われる会場は、山の中にある八角館という建物の中にあった。中に入ると八つある側面はすべてガラス張りで、外には雪が降っていた。ワークショップの時間になった。子供たちを集め、まずは軽く自己紹介。それから子供たちひとりひとりに自己紹介を促した。しかし、これがうまくいかない。自分の名前を素直に言ってくれない。名前を聞いても、知らない…、忘れた…、あとは無言。これだから子供は嫌だ、少しだけムッとする。それがケチのつき始めだった。とにかく、こちらの言うことをまったく聞いてくれない。頑張ってこっちに興味を示すように誘ってみても全然駄目。無言…、知らない…、わからない…。彼らにまったく信用されていないみたいだ、と言うよりあきらかに無視をされている。人に無視をされる…、たとえ相手が子供であっても、これにはこたえる。僕はこれまで、人に無視をされたことはほとんどない。しかし、彼らにはよくあることなのだろう、人を無視するツボを心得ている。自分が受けている無視という虐めを、大人の僕に味わわせているのだ。実に嫌な感じだ。何年も演劇学校や大学で講師をしているが、こんなことは初めてだった。それでもワークショップは続けなくてはならない。簡単なインプロ(アドリブ)ゲームを試みるが、全然駄目。もう自分で何をやっているのかわからない。講習時間の三時間がとてつもなく長く感じた。