真夜中の虹(page 247/280)[真夜中の虹]
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247第四七話「挫折」二〇〇四年の暮れは、役者をやめることを決意をしたことの他に、もうひとつ辛いことがあった。ドラマの撮影の合間を縫って、福井県の武生というところで行われた「子供のための....
247第四七話「挫折」二〇〇四年の暮れは、役者をやめることを決意をしたことの他に、もうひとつ辛いことがあった。ドラマの撮影の合間を縫って、福井県の武生というところで行われた「子供のためのアートセミナー」に演劇ワークショップの講師として参加することになった。講師として呼んでくれたのは友人のF氏。以前一緒に芝居を作った仲間だ。ギックリになった腰の様子を伺い、電車を乗り継ぎ、北陸本線武生駅に着いたのは昼過ぎだった。武生駅の改札を抜けるとF氏が出迎えてくれ、そのまま彼の運転する軽自動車に乗り込み、近くの蕎麦屋で明日の打ち合わせを兼ねて昼食を摂った。参加する子供は全部で五人。すべて小学生で、不登校気味の子供が多いという。五人という参加者の少なさに驚いたが、とりあえずその日の宿泊施設、古民家カサルに向かった。その古い民家は部屋中隙間だらけで、外と中の気温が同じだった。寒がりで腰痛持ちの僕のためにと、F氏が大型ストーブと電気カーペットを用意してくれた。それでも寒さが隙間から入り込み、一晩中、突き刺すような痛みが腰に走った。