真夜中の虹(page 243/280)[真夜中の虹]
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243終わったあと倒れた。そして、C型肝炎と診断された。長台詞とC型肝炎、そのふたつが嫌な思い出として蘇ってくる。眠りについても、何度もうなされ、その度に目が覚め、ほとんど寝ることができなかった。ドラマの....
243終わったあと倒れた。そして、C型肝炎と診断された。長台詞とC型肝炎、そのふたつが嫌な思い出として蘇ってくる。眠りについても、何度もうなされ、その度に目が覚め、ほとんど寝ることができなかった。ドラマの本番収録当日。朝六時半、家を出てスタジオに向かう。外には雪がちらつき、寒さが腰にくる。身体の不調は既にピークに達していた。メーク室の椅子に腰かけ鏡の中の自分の顔を見ると、そこには浮むく腫みきった無残な顔があった。撮影が始まった。午前中は長台詞のシーンはなく、とりあえずスケジュール通りに進んだ。しかし、モニターチェックを見て愕然とした。モニターの中の自分が、メークをしているにも関わらず、あまりにも窶やつれた顔をしていたのだ。やはり病気の顔は隠せない…。役者を続けるのはやっぱり無理かもしれないと、いまさらながらに思った。それでも午前の撮影は無事終了。昼食を挟んで午後の撮影開始。最初は難なくこなしていたが、徐々に疲れが出始め、動きが鈍くなり、芝居に切れがなくなった。そして夕食前、ひとつ目の長台詞のシーンがやってきた。スタジオドラマというものは通常、ドライ→カメリハ→ランスルー→本番の順番で進行する。ドライというのは段取り確認、カメリハはカメラリハーサル、ランスルーは本番通りにやることを言う。