真夜中の虹(page 242/280)[真夜中の虹]
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242らえ、やっとの思いで新宿駅に到着。そこから私鉄に乗り換え、病院に駆け込んだ。電気治療を施し、飲み薬と湿布薬をもらった。ホッとしたせいか、自宅に戻るとそのまま倒れ込んだ。この様子だと、きっと肝臓も悲....
242らえ、やっとの思いで新宿駅に到着。そこから私鉄に乗り換え、病院に駆け込んだ。電気治療を施し、飲み薬と湿布薬をもらった。ホッとしたせいか、自宅に戻るとそのまま倒れ込んだ。この様子だと、きっと肝臓も悲鳴をあげているに違いない。服も着替えず眠りに落ちた。次の日は、一日台詞覚えにあてた。部屋に籠もり、朝から晩まで台詞の反復練習に費やした。しかし、おかしい…、台詞の入りがすごく悪いのだ。肉体の疲れか、それとも精神的なものなのか、多分両方だろう…。それでも覚えなくてはならないと、ずっと台詞を言い続けていたら、口が疲れ、舌が痺れてきた。やりすぎも良くないと思い、取り敢えず寝ることにして布団に入るが、しばらくすると台詞が気になる。その度に何度も起きては台本を捲めくった。数日後、都内でリハーサルが行われた。長台詞のシーンはふたつ。いつもなら台本なんか持たずにリハーサルに臨むのだが、台詞がうろ覚えのため台本を持ちながらのリハーサルになった。情けない……。重ねて、監督が僕の演技が気に入らないらしく何回もやらされ、ひどく落ち込んだ。家に帰り、再び台詞を入れる。どうしたのだろう…、頭がどうかしてしまったのかと思うくらい台詞が入らない。不安で気が狂いそうになった。過去を遡さかのぼってみると、これと同じようなことが一度だけあった。そのときは舞台だった。同じように長台詞が覚えられなかった。毎日台詞覚えに明け暮れ、身も心も疲れ果て、舞台が