真夜中の虹

真夜中の虹(page 241/280)[真夜中の虹]

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241まっ、いいか。それより昨日痛めた腰を布団の中で左右に振ってみる。うん、昨日よりはいい。腰を庇いながら布団の中から抜け出し、朝風呂に入りに大浴場へ行く。途中、窓から外を見ると雪が降っていた。今年初め....

241まっ、いいか。それより昨日痛めた腰を布団の中で左右に振ってみる。うん、昨日よりはいい。腰を庇いながら布団の中から抜け出し、朝風呂に入りに大浴場へ行く。途中、窓から外を見ると雪が降っていた。今年初めての雪。どうりで寒いはずだ。脱衣場に足を踏み入れると、地べたに人が寝ていた。それも下着姿のままだ。よく見ると、傍らに紺色の半はんてん纏が脱ぎ捨ててある。どうやらここの従業員のおじさんのようだ。きっと夜中に酔い潰れ、ここで寝込んでしまったにちがいない。どうしよう、起こした方がいいのか…。悩んだ末、死んでいるわけでもないので、そのまま放っておくことにした。腰の患部をジェット水流でゆっくり揉みほぐす。なんとか今日一日、撮影の間だけでもいいから暴れないでください、そう腰にお願いする。風呂から上がって脱衣場に行くと、おじさんの姿はすでになかった。あれは幻だったのか…。撮影が始まった。現場は豪華な方の旅館の玄関。玄関の扉は開け放たれたまま。さ、寒い。股引きを履いているにも関わらず足元から冷気が入ってくる。寒さで腰がキリキリ痛み、口もガチガチと音を立てている。早く終わってほしいと心から願うも、朝八時から始まった撮影は遅々として進まず、出番が終わったのは午後一時、なんとか腰はもってくれた。即行で高速バスの停留所まで送ってもらい、東京行きの高速バスに乗った。高速バスの乗り心地は最悪だった。揺れる度に振動が腰に伝わり、激痛が走る。東京まで約五時間、痛みをこ