真夜中の虹(page 24/280)[真夜中の虹]
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24絶叫が身体を突き破り、体内で鋭角に暴れた。心が急速に冷え、身体全体がキーンとなった。恐ろしい……。以前、三歳上の兄にこの話をしたら、兄は母のエキセントリックな部分に遭遇したことはない....
24絶叫が身体を突き破り、体内で鋭角に暴れた。心が急速に冷え、身体全体がキーンとなった。恐ろしい……。以前、三歳上の兄にこの話をしたら、兄は母のエキセントリックな部分に遭遇したことはないという。だとすると母は僕だけを狙って絶叫したのか…。そうすると僕は、女性が叫びやすい何かを備えていることになる。そういえばある人に、「きっと、あなたは女のそういう部分を受け止めてくれる感じがするんじゃない」と言われたことがあるが、冗談じゃない。叫ばれたこちらは、しばらくは立ち直れない。怯えて暮らす日が当分の間続くのだ。女性の叫びは、僕にとってはお化けよりも怖い。母の絶叫がトラウマとなり、後に何度も女性の前で凍り付くことになるのだが、それでもそこから学んだこともある。それは、女性からの悪意に満ちた攻撃に対し、躱かわすことが上手になったことと、女性の持つその特異的な「その場の感情」に流されにくくなったこと。あと生理前の女性の空気を察知するのも早くなった。姉の病気はその後、回復することはなかった。あれは、夏の終わりだった、姉と僕は並んで