真夜中の虹

真夜中の虹(page 230/280)[真夜中の虹]

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概要:
230らうしかなさそうだ…。僕はあまり親しい人を作らない方がいいのかもしれない。親しくなる人は、みんな死んでいく。友達がだんだんいなくなっていく。そして最後は独りぼっちになる。死ぬも地獄、生きるも地獄....

230らうしかなさそうだ…。僕はあまり親しい人を作らない方がいいのかもしれない。親しくなる人は、みんな死んでいく。友達がだんだんいなくなっていく。そして最後は独りぼっちになる。死ぬも地獄、生きるも地獄。生も死も、人間にはどうすることもできない。すべてが運命と生きていくしかないのだ。最期まで藻掻き苦しむことを覚悟して。※追記今でも年に数回、ミミちゃんの仏壇に手を合わせに行く。大正生まれのミミちゃんのお母さんは現在も元気で、百歳まで生きると頑張っている。以前、ミミちゃんは早稲田にある寺院で、お百度を踏んでいた時期があった。彼女を車に乗せ、何回か一緒に通った。足を引きずりながら苦しそうにお百度を踏む彼女の姿を見て、お百度そのものにあまり意味を見い出せなかった私は、ある日、やめたらどうかと提案した。お百度を踏む度に、彼女の足がどんどん悪くなっていくような気がしたからだ。ミミちゃんはお百度をやめ、そして死んだ。先日、偶然その寺院の前を通った。当時はお百度を踏む人で混雑していたお寺も、いまはもう人の気配さえなかった。あの日、お百度を踏んでいたミミちゃんの姿が、ぼんやりと現れては消えた。