真夜中の虹(page 229/280)[真夜中の虹]
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概要:
229しぶりの再会は言葉を交わすことなく終わった。七月九日の早朝、お姉さんから電話があった。昨日の夜、ミミちゃんが亡くなったという。遺体は火葬場の冷暗室に安置されているからと言われ、夕方、会いに行った。....
229しぶりの再会は言葉を交わすことなく終わった。七月九日の早朝、お姉さんから電話があった。昨日の夜、ミミちゃんが亡くなったという。遺体は火葬場の冷暗室に安置されているからと言われ、夕方、会いに行った。連日の猛暑のせいか、亡くなった方が多く、霊安室は一杯だった。霊安室を後にし、ミミちゃんの家に行き、お母さんに会った。深い悲しみに暮れているお母さんに、お母さんは長生きしてくださいねと、そう言ってあげることしかできなかった。我が家はどん底に落ちたように暗くなり、家人は僕に対し、ロビーで帰った愚か者、と言った。お通夜は、多くの人がミミちゃんのために集まった。できることなら生きているうちに会わせてあげたかった。そして、もっともっといろんなところに連れていってあげればよかった…。いまはただ悔いだけが残り、ごめんね、と手を合わせた。そして、とうとうミミちゃんが骨になった。あんなにワガママで口の悪かったミミちゃんが骨になった。人が亡くなる悲しみや切なさ…。幾つになっても慣れない。死を前にすると誰もが無力になる、そんな誰かの言葉が頭をよぎった。ミミちゃんの葬儀から一週間が経った。彼女の死から、いまだに立ち直ることができない。気を許すとミミちゃんのところへ行きたくなる自分がいるのだ。しかし、そういう気持ちも、いつかはきっと薄らいでいく…。やはり最後は時に解決しても