真夜中の虹(page 227/280)[真夜中の虹]
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227まるで氷のように冷たい。とりあえず町中に出て、喫茶店に緊急避難。とにかく落ち着かせようと、みんなで背中を擦さするが、彼女の興奮は収まらない。泣く、喚く、嘆く、を繰り返し、ずっと震えている。あまりの....
227まるで氷のように冷たい。とりあえず町中に出て、喫茶店に緊急避難。とにかく落ち着かせようと、みんなで背中を擦さするが、彼女の興奮は収まらない。泣く、喚く、嘆く、を繰り返し、ずっと震えている。あまりの騒ぎに、店の人に怒られた。いま思えば、彼女の頭が混乱し始めたのは、このときからだった。入院しているときは、よくお見舞いに行った。「ひとりで食事をしたくない」と言うのでコンビニで弁当を買い、彼女の食事時間に合わせて一緒に食事をとった。そんな仲のよかったミミちゃんと、ある日を境にあまり会わなくなった。原因は僕の病気。病気の彼女の相手をしていた僕がC型肝炎になった。自分のことでいっぱいになり、彼女をかまっている余裕がなくなった。それでも当時の日記を読み返してみると、週に一度は会っている。会わなくなったと言っても、これだけ会っているのだ、それまでどれだけ会っていたかがよくわかる。二〇〇四年の五月だった。病院にいるミミちゃんから手紙が来た。その手紙には、何か読む本を持ってきて欲しいことと、「六月二十三日の日には外で一緒に御飯が食べられそうにないね」と書かれてあった。六月二十三日というのは僕の誕生日。ミミちゃんが会いたがっているのがよくわかった。