真夜中の虹(page 226/280)[真夜中の虹]
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226早くて三カ月」と宣告を受けていたが、そこから、なんと今年の夏まで生きることができた。やはり妖怪としか言いようがない。講をやめてか....
226早くて三カ月」と宣告を受けていたが、そこから、なんと今年の夏まで生きることができた。やはり妖怪としか言いようがない。講をやめてからの彼女は、入退院を繰り返した。病院に入っていないときは、よく旅行に出かけた。病気で弱っていた彼女は、行った先の土地でちょくちょくお化けに出会った。梅雨のころだった。小雨がぱらつく夕方、山梨県のどこかの川沿いを僕たちは歩いていた。突然彼女が震え出し、「あっ、あっ、あっ…」と奇妙な声を出した。「あっ、あそこに、ずぶ濡れの落ち武者がいる…は、早くここを離れよう…」歩けない彼女を背負い、とにかく明かりのある場所まで急ぐ。しかし走れば走るほど背中の彼女は重くなっていく。まるで、彼女に取り憑いている魔物まで背負っているようだ。加えて