真夜中の虹(page 225/280)[真夜中の虹]
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225だった。彼女の霊の感度は強く(思い込みが激しいともいう)、深夜の狭井神社のお参りでは霊が取り憑き、いつも「う~ん、う~ん」と唸っていた。そんな彼女の存在が表現としても面白くて、僕の演出した芝居に「祈祷....
225だった。彼女の霊の感度は強く(思い込みが激しいともいう)、深夜の狭井神社のお参りでは霊が取り憑き、いつも「う~ん、う~ん」と唸っていた。そんな彼女の存在が表現としても面白くて、僕の演出した芝居に「祈祷師役」で出演してもらったこともあった。普段の彼女は、薬局の薬剤師。漢方相談のほかに、患者さんの身の上相談までやっていた。人の心を読むのに長けていて、どの言葉を伝えればその人が元気になれるのか、どう接すればその人が道を外すことなく生きられるか、そういうことをちゃんとわかっている人だった。講の中でも人気が高く、女ボスと呼ばれていた。ミミちゃんは十歳下の僕を弟のように可愛がり、困ったことがあると、よく助けてくれた。その代わり、運転手をやらされたり、背中を揉まされたりして、手下のように使われた。お互い、性格が似ているせいか、気に食わないことがあるとよく喧嘩になったが、数日後にはケロッとして、あとにひくことはあまりなかった。今年の夏は連日猛暑で、先日も温度計が四十度を越えた。これだけ暑いと体力が落ち、亡くなる人の数も自然と増える。そんな二〇〇四年七月八日、ミミちゃんが死出の旅に出た。享年五十三歳。もともと心臓の悪かった彼女は、十二年前、すでに医者から「もって五年、