真夜中の虹

真夜中の虹(page 224/280)[真夜中の虹]

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224第四四話「別離」定期的に三輪山に登る組織、○○講を僕はやめた。講をやめたからといって、三輪山に登ることをやめたわけではなかった。一緒にやめた「ミミちゃん」という女性を中心に、誰にも支配されない三輪....

224第四四話「別離」定期的に三輪山に登る組織、○○講を僕はやめた。講をやめたからといって、三輪山に登ることをやめたわけではなかった。一緒にやめた「ミミちゃん」という女性を中心に、誰にも支配されない三輪山参拝を不定期で行っていた。三輪山(神)と自分の間には何なにびと人も入ることはない。それまでのカリスマもどきがいる三輪山参拝とは違い、それぞれが自分自身と対話しながらの参拝は他者に依存できない分、ひとり藻もが掻き苦しむことも多かったが、その風通しの良さはかけがえのないものだった。中でもミミちゃんは、独裁者のいないお山がとても心地良さそうに見えた。ミミちゃんは年齢不祥で、水木しげるの漫画に出てくる妖怪のような人だった。極端に痩せていて、背も低く、その姿は「砂かけババア」。足が悪く、いつも誰かにおぶわれていて、それはまるで「子泣き爺」。とてもお化けに詳しく、お化けを語る仕草は、「のんのんばあ」。とにかくとても変わった、霊媒のできる人だった。ミミちゃんと最初に口を利いたのは、初めて三輪山に行ったときで、当時の彼女は講の運営委員をしていて、参加者からの旅費の徴収や初めての人に心得などを教える世話役的な存在