真夜中の虹

真夜中の虹(page 218/280)[真夜中の虹]

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概要:
218静さを失いかけた。人の心というものはとても卑しい。不思議な体験をしたことで、自分だけが特殊な存在になりになり、他者に対し優越感を持ってしまう。僕には皆に見えないものが見えるのだと、大きな声で自慢し....

218静さを失いかけた。人の心というものはとても卑しい。不思議な体験をしたことで、自分だけが特殊な存在になりになり、他者に対し優越感を持ってしまう。僕には皆に見えないものが見えるのだと、大きな声で自慢したくなった。しかし、鎮魂中は私語厳禁。必死になって心を落ち着かせる。それこそまさに鎮魂の行だった。きっと神社の人が祭りで使うお神みこし輿を出しているに違いないと、そう思うことにし、再びお祈りを続ける。しかし、黄金色の光はその後も瞑った瞳を刺激し、瞼の向うで何やらザワザワとした音まで聞こえてきた。瞳を開けたい欲望と戦いながら、心を鎮めることに集中した。どれくらい時間が経っただろうか、唐突に「ごとり」という何かを床に置いた気配と共に、黄金色の光りも一切消え、すべてが現実に引き戻された。このときの黄金色の光と光の柱のことは、いまだに何だったのか自分でもよくわからない。きっと、石鎚山参拝というイベントを終えたばかりで、気持ちが高まった状態だったことと、自分は「神のお使い」という驕おごった思い込みが、そのような現象を見させたのではないだろうか…。それにしても、もの凄い光量だった。自分には霊能力があるかもしれないと錯覚したのもこのときが初めてだった。しばらくは調子に乗っていたが、すぐに憐れな自分に気づき、人間は