真夜中の虹(page 203/280)[真夜中の虹]
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概要:
203ろだった。この叔母には、以前大変お世話になった。でも、僕の横着のせいで不義理を重ね、足が遠のいていた。きっと小言を言われるだろうと覚悟をしていた。ところが、「あなたは、どうなの、元気でやってるの?」....
203ろだった。この叔母には、以前大変お世話になった。でも、僕の横着のせいで不義理を重ね、足が遠のいていた。きっと小言を言われるだろうと覚悟をしていた。ところが、「あなたは、どうなの、元気でやってるの?」そう聞かれ、自分がC型肝炎でにっちもさっちも行かないことを話した。「落ち込むのはわかるけど、落ち込んでも治らないんだから、もっと元気でやらなくちゃ」怒られて当たり前なのに励まされてしまった。涙が氾濫をおこし、なかなか止まらなかった。葬儀の日はよく晴れたいい天気になった。式次第に沿って葬儀は淡々と進み、ばあちゃんは孫と曾孫の手によって、焼き窯の中に消えていった。ばあちゃんが骨になるまでの時間、控室で待機をしていると、叔父(母の妹のご主人)が声をかけてくれた。「調子悪いんだって。大丈夫、大丈夫だから、そのうち特効薬もきっとできるから、悩まずにしっかりやりなさい、まぁ、一度遊びにおいで」またまた励まされてしまった。少しは親戚を大事にしなさい、そんなふうにばあちゃんが言っているようだった。ひねくれ者の僕は、これまで親戚の人たちの情をおせっかいに感じ、避けてきた。どうしてもひと言多い身内の持つ情がうっとうしかったのだ。しかし、これからは、親戚の人たちの言葉に少しでもいいから耳を傾けてみよう、すぐに否定しないで、最後まで話を聞いてみようと遅まきながらに思った。簡単なことなのに、これまでは自意識が邪魔をして