真夜中の虹(page 201/280)[真夜中の虹]
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概要:
201第四〇話「通夜」お通夜が始まった。親戚や町内会の人たちが次々とやってきた。受付周りは孫たちの手で行うことになり、家人と僕は受付に立つことになった。久しぶりに会う叔父や叔母たちは、....
201第四〇話「通夜」お通夜が始まった。親戚や町内会の人たちが次々とやってきた。受付周りは孫たちの手で行うことになり、家人と僕は受付に立つことになった。久しぶりに会う叔父や叔母たちは、みんな一様に禿げ頭か白髪頭で、いいお年寄りになっていた。従兄弟たちも同様に歳を取り、薄くなった頭と、突き出た腹が目に付いた。僕は親戚付き合いが好きじゃない。両親の法事にも顔も出さなかった。なのに皆、文句を言うでもなく、昔のように接してくれた。四十四歳になる僕も、叔父さんたちから見ればいつまでたってもバナナが好きな甘ったれでしかない。彼らは僕を子供扱いし、こっちもそれに応えていると、何十年も前にタイムスリップした感じがした。ひとつだけ違うことは、ばあちゃんがいないこと…。でも、それ以外は明るく楽しく和やかなお通夜だった。通夜振る舞いの最中、突然私服姿の三人連れが入ってきた。「フレンズホーム」という、ばあちゃんの入っていた老人ホームの職員の方々で、仕事帰りに寄ってくれたのだった。「お顔を見せていただいてよろしいですか」