真夜中の虹

真夜中の虹(page 192/280)[真夜中の虹]

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192を引き締めないと命を取られかねないよ!と思っていた。しかし、この一件のおかげで、皆が慎重になった。三時間ぐらい歩いた頃、鎖くさり場ばと呼ばれる難所に差しかかった。ここは修験道が使う、鎖だけで壁を登る....

192を引き締めないと命を取られかねないよ!と思っていた。しかし、この一件のおかげで、皆が慎重になった。三時間ぐらい歩いた頃、鎖くさり場ばと呼ばれる難所に差しかかった。ここは修験道が使う、鎖だけで壁を登る場所。落ちたら大怪我は必至。鎖場の途中で僕が待機し、お年寄りのアシストをすることになった。途中で待機と言っても、足を踏ん張るところもない。片手で鎖を握りしめ、やってくるお年寄りを引き上げる。すぐに腕が悲鳴をあげた。ああー、もう駄目だ、誰か代わってください。そう叫んでも「修行だよ、修行」と言って誰も代わってくれない。こんなところで死んだら元も子もないと、このときばかりはマジで腹が立った。原生林の中をどれくらい歩いたろうか、それはいきなりやってきた。目の前に何十メートルもある巨大な岩の柱が突然出現したのだ。これが天柱石か…。この石鎚山の天柱石は、山の中に突然降って湧いたように現れ、堂々と屹立していた。それはまるで神様の男根のようだった。少しの休憩も取らずに、すぐに祈りの準備に取りかかることになった。僕たちはまず小さな水晶玉をそれぞれカバンから取り出し首にかけた。これはこの日のために、各自の家の神棚で毎日祈りを捧げ、御霊を入れた水晶玉だ。首にかけたとたん、背筋がピッと伸びた。水晶玉は別にもうひとつあった。それは直径十二センチぐらいある大きなもので、闇の行で