真夜中の虹(page 18/280)[真夜中の虹]
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18きにさせておくことだ。無抵抗主義、マハトマ・ガンジーを貫き、「鬱」という名の台風が通り過ぎるのをジッと待つ。台風は長くは留まらない。そのうち飽きて、どこかへ行ってしまう。そうなればこちらのもの。やが....
18きにさせておくことだ。無抵抗主義、マハトマ・ガンジーを貫き、「鬱」という名の台風が通り過ぎるのをジッと待つ。台風は長くは留まらない。そのうち飽きて、どこかへ行ってしまう。そうなればこちらのもの。やがて空には晴れ間がのぞき、どこからか心地良い風が吹いてくる。あとは青空を見上げればそれでいい。そこにはもう「鬱」はいない。前回も触れたが、僕の母は少しばかり変な人だった。どう変だったのかと言われるととても一口では説明できない。とにかく友達のお母さんとは、何かがはっきりと違っていた。いま思えば普通の母親の持つ、ホンワカとした暖かさというものが欠落していたのかもしれない。母は東京の広尾で生まれ育った。成績は優秀で、青山学院大学を一桁の席次で卒業。ゆくゆくは通訳になろうとしていたという。そんな母に突然縁談が持ち上がり、普通のサラリーマンであった父と結婚。やがて父の転勤で名古屋に居を移すことになる。この大きな田舎、名古屋への引っ越しは、母を「都落ち」の気分にさせた。ある日、彼女の心の中に潜んでいた欲望が目を覚ます。それは僕が小学校に上がる前だった。母が浮気をしたのだ。相手は個人病院の医師。母と同い歳くらいの人で、髭を生やした、身体の大きな人だった。母は病院に行くときは必ず僕を連れていった。それはまるで誰かに向かって、子供がいるの