真夜中の虹

真夜中の虹(page 175/280)[真夜中の虹]

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175第三四回「不倫」漢方薬のおかげか、はたまた氷川神社詣出の御利益か、前よりは多少元気になった。仕事も順調になり、オカマから凶悪犯までバラエティに富んだ役がくるようになった。小さな役も大きな役....

175第三四回「不倫」漢方薬のおかげか、はたまた氷川神社詣出の御利益か、前よりは多少元気になった。仕事も順調になり、オカマから凶悪犯までバラエティに富んだ役がくるようになった。小さな役も大きな役もわけへだてなく、ひとつひとつを大切に演じていると、「演じる」ことの面白さがなんとなくわかってきた。それに伴い、それなりの評価も貰えるようになった。しかし、人間というものは愚かだ。物事がちょっとうまく回り始めるとすぐ調子に乗る。ある舞台で知り合った女性と恋に落ちた。こっちは妻子持ち。おまけに妻は三人目の子を身ごもっている。家の外では恋愛に溺れ、家に帰れば妻に責め立てられる毎日。自分で蒔いた種とはいえ、まるで小説の『死の棘』のような状態だった。彼女も妻も、そして僕も、しだいに精神的に追い込まれ、これではみんな参ってしまうと思うも、解決策は何ひとつ見つからなかった。当たり前だ。人間の業で始まった恋愛のゴタゴタが簡単に解決するわけがない。離婚はしたくない、しかし彼女と別れるのも嫌だ。そんなのただの我が儘だ。それでもどうしていいのかわからず、漢方医の若先生に泣きついた。