真夜中の虹(page 173/280)[真夜中の虹]
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概要:
173ていくようだった。心地いい参道を抜け境内に足を踏み入れる。ピシーッとした空気に触れ、身がキッと引き締まる。正面に見える本殿は厳かな雰....
173ていくようだった。心地いい参道を抜け境内に足を踏み入れる。ピシーッとした空気に触れ、身がキッと引き締まる。正面に見える本殿は厳かな雰囲気で、グッと緊張感が増した。境内には御神木と呼ばれる大きな楠木が五本、大空に向かって聳えている。すべての楠木が樹齢二千年以上の長寿木。イエス・キリストが生まれたときには、この楠木はすでにこの場所で生きていたのだ。人間のいろいろな愚かな行為を一部始終見届けてきた楠木。そっと樹の肌に触れてみる。樹の温もりがカサついた心を潤し、体中に滞っていた「気」がゆっくりと流れ始めた…。生きている……。「生」というものを、身をもって感じた。そのまま長い時間、ジッと樹に触れていた。その樹肌の温もりは、人間のような駆け引きのない、純度の高い生の温もりだった。