真夜中の虹

真夜中の虹(page 17/280)[真夜中の虹]

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概要:
17第三話「浮気」暑い残暑も終わり、アッという間に秋が来た。一年でいちばん好きな季節だ。穏やかな気候、色づく街角、キンモクセイの香り。なんだか幸せ……、と思う間もなく突然あいつ....

17第三話「浮気」暑い残暑も終わり、アッという間に秋が来た。一年でいちばん好きな季節だ。穏やかな気候、色づく街角、キンモクセイの香り。なんだか幸せ……、と思う間もなく突然あいつがやってきた。あいつの名前、それは「鬱」。「恋」と「鬱」は忘れた頃にやってくる。そう、なんの前触れもなくそいつはやってくる。まるで冬眠明けのカエルに突然自転車がぶつかってくるようなものだ。生きる術をなくしてしまった肉の塊が、その毛穴から負のオーラを出し続ける。心の奥底に虚無という荒野が広がり、映画「パリ・テキサス」のハリー・ディーン・スタントンがライ・クーダーのやり切れない旋律に乗ってこちらに向かってやってくる(注1)。ビヨヨヨヨ~ン。ああ、もう逃れられない…。人生の中で幾度となく味わってきた「鬱」という名の化け物。今回はどう迎え撃とうか…。さあどうする、さあどうしよう、いろいろな回避策が頭の中を過っては消える。まぁ、いつもと同じ方法で逃げ切るしかない。それは、「鬱」に抵抗しないこと。「鬱」の好