真夜中の虹(page 166/280)[真夜中の虹]
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166「自殺ですか?自殺なら麻酔は使いませんよ」「いえ、自殺ではありません…」夥おびただしい血を見たおかげで少しは正気に戻ったが、しばらく....
166「自殺ですか?自殺なら麻酔は使いませんよ」「いえ、自殺ではありません…」夥おびただしい血を見たおかげで少しは正気に戻ったが、しばらくすると心は再び闇の中に戻っていた。その頃の写真がある。居間で次女をひざの上に乗せたまま、どこか遥か遠くを見ている。この世ではないどこか余所の世界をぼんやりと見ているようだ。まるで、自分がこの世に存在しないかのように…。「知り合いが、いい漢方の先生がいるって言うんだけど、行ってみる?」顔面の皮膚がカサカサになってきた僕に、見かねた妻が訊いた。「なんでも試すよ、いまより楽になれるんだったら……」僕は大井町線沿いにある、ある漢方薬局に行くことになった。そして、これをきっかけにして、信仰とか宗教というものに深く関わっていくことになるのだった。