真夜中の虹

真夜中の虹(page 163/280)[真夜中の虹]

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概要:
163「ドラッグでもやっているんじゃありませんか」いきなりそう言われた。冗談じゃない、ドラッグをやっているのであれば、原因がハッキリしているのだから病院になんか来るわけがない。こっちが知りたいのはちゃん....

163「ドラッグでもやっているんじゃありませんか」いきなりそう言われた。冗談じゃない、ドラッグをやっているのであれば、原因がハッキリしているのだから病院になんか来るわけがない。こっちが知りたいのはちゃんとした原因と治療法なのだ。もう頭に来た、二度と来るものかと、これがきっかけで精神科というものをまったく信用しなくなった。さてどうするか、もう医者はあてにできない、ここは気分転換に旅行でもしようと、家族でアメリカに渡った。これが結構良かった。特にニューヨークは、ギスギスした神経に刺すような刺激が荒療治となり、創造意欲に火が付き、ものづくりに対する欲が出てきた。そういえば、僕はまだ何も創り出していない。とりあえず何か自分の作品と言えるものを創ってみよう、悩むのはそれからにしようと、自分に言い聞かせた。帰国後、さっそく舞台作りの仲間探しを始めた。ある女優さんが頭に浮かんだ。もちろん面識はない。知り合いのつてを頼り、会ってもらえることになった。たしか、五反田の喫茶店だった。緊張していた僕は、吃りながらも一緒に舞台を作りたいという思いを必死に伝えた。捨て身の思いが通じたのか、喜んで、という言葉をもらうことができ、嬉しい、という感情が久しぶりに心の中で踊った。それから約五時間、これから作りたい作品の話を彼女に向かって喋っていた。五時間もの間、