真夜中の虹(page 162/280)[真夜中の虹]
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162第三一話「闇」次女が生まれ、苦労した舞台「奇跡の人」も終わり、しばらくは幸せな日々が続いていた。しかし、もって生まれた性分なのか、はたまた不幸に慣れすぎてしまったのか、幸せとい....
162第三一話「闇」次女が生まれ、苦労した舞台「奇跡の人」も終わり、しばらくは幸せな日々が続いていた。しかし、もって生まれた性分なのか、はたまた不幸に慣れすぎてしまったのか、幸せというものにどうも馴染めない。幸せなのがまるで罪悪であるかのように思い込み、どこかで不幸せな方向へ流れようとする自分がいる。気がついたら精神のバランスが崩れていた。症状としては、身体の震えに手の痺れ、涙が止まらなくなる等々。あきらかに自律神経失調症だった。理由としてあげられるのは、しっかりとした基礎がないのに俳優業を続けることへの恐怖、定収入のない不安、萩本さんや河合さんに代表される癖の強い演出家と仕事をした後遺症、そして今更ながらの両親の自殺の影響等々、たくさんあった。いろんなことが積み重なり、神経は擦すり減っていた。犬が目の前を横切っただけで涙がこぼれ、月を眺めるだけで心臓がバクバクした。ゆっくりと闇の中に落ちていく自分を、もうひとりの自分がただジッと見ている。慌てて事務所の社長が、僕を精神科に連れていった。