真夜中の虹

真夜中の虹(page 160/280)[真夜中の虹]

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概要:
160した。だけど、ここでつぶれるわけにはいかない。次女が産まれたばかりなのだ。人生は長い、これしきのことで負けるわけにはいかない。無理にでも気持ちを持ち上げ、なんとか本番をこなした。次女が産まれた数日....

160した。だけど、ここでつぶれるわけにはいかない。次女が産まれたばかりなのだ。人生は長い、これしきのことで負けるわけにはいかない。無理にでも気持ちを持ち上げ、なんとか本番をこなした。次女が産まれた数日後、本番の合間に次女の顔を見に行った。はじめましての次女はとても愛らしかった。見ると右目の横に痣あざがある。可愛い…。僕の瞳から涙がこぼれた。それは決してセンチなものではなく、僕の心の中の小さなコンプレックスや迷いを溶かしてくれる、幸福の涙だった。普通の人なら悲しむべき痣が、僕にはすごく美しいものに見えた。これは神様が娘にくれたプレゼント、この痣がこの先きっとこの子を守ってくれるに違いない。人の欠点は美しい。僕は自分の舌を呪うのをやめた。そして欠点と共に歩いていく覚悟を決めた。娘の痣もそうだ。痣があるということで、この世で誰も愛してくれなくても、僕だけは間違いなく愛す。娘に勇気をもらった僕は、途中で逃げ出すことなく、無様な姿を晒しながらも千秋楽まで役を演じきった。そういえば公演途中にこんなことがあった。当時アイドルだった岡田有希子さんが、舞台を見にきたのだ。彼女とは、その前に一度だけドラマで共演したことがあった。現場では同じ名