真夜中の虹

真夜中の虹(page 158/280)[真夜中の虹]

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概要:
158幕が開いた。結果は惨憺たるもので、それはプロの中に素人がひとり混じっているようなものだった。「サリバン先生」が「サジバン先生」になってしまう....

158幕が開いた。結果は惨憺たるもので、それはプロの中に素人がひとり混じっているようなものだった。「サリバン先生」が「サジバン先生」になってしまうのだ。このときほど、自分の舌を呪ったことはなかった。それでも公演は、大竹しのぶのサリバン先生とヘレン役の子の熱演が評判をよび、連日満員御礼だった。私生活では本番の初日に、二番目の子が産まれた。女の子だった。舞台の初日にちなんで、名前を舞宙音(マチネ)と付けた。マチネとは芝居の昼公演のことを言う。思えば、いろんなことがいっぺんにやってきた舞台初日だった。初日が開いたあとも、僕の舌足らずな演技はそのまま改善されることなく人前に晒さらされた。そのうち共演者の人たちがイライラし始めた。当たり前だ、僕の演技が下手すぎるのだ。いい役を貰っているにも関わらず、大事な場面で台詞がつっか