真夜中の虹

真夜中の虹(page 154/280)[真夜中の虹]

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概要:
154僕にバレーボールをぶつけてきた。おい、なんとかボケろ、さぁボケろ…。最後に「笑い」で別れたかったのか、大将はボケるチャンスを作ってくれた。そ....

154僕にバレーボールをぶつけてきた。おい、なんとかボケろ、さぁボケろ…。最後に「笑い」で別れたかったのか、大将はボケるチャンスを作ってくれた。それは大将の愛情で、胸が痛むほどこちらに伝わってきたが、僕にはそれに応えるセンスも技術もなかった。最後の収録が終わり、楽屋で大将から記念に腕時計を戴いた。悲しみと悔しさ、それと大将の愛情の深さに、涙をこらえることができなかった。その日以来、大将には会っていない。戴いた時計も、どこかへ失くしてしまった。この先、大将と再会できる機会はあるだろうか。生きていればあるかもしれないが、たぶんないと思う。大将との思い出は、あの日を最後に頭の奥で固まってしまっている。なんとかその固まりを溶かしたいのだが、人生には苦い思い出がひとつくらいあってもいい。人生は一期一会。なるようにしかならない。