真夜中の虹(page 152/280)[真夜中の虹]
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152挨拶もそこそこに、いきなりリハーサルに入った。急に呼ばれて何も準備をしていなかった僕は、以前に大将とやっていた番組「日曜九時は遊び座です」のキャラクターでリハーサルに挑んだ。「おい、お前、それは数....
152挨拶もそこそこに、いきなりリハーサルに入った。急に呼ばれて何も準備をしていなかった僕は、以前に大将とやっていた番組「日曜九時は遊び座です」のキャラクターでリハーサルに挑んだ。「おい、お前、それは数字(視聴率)が取れないキャラ、もっと数字の取れるキャラにしてくれ」大将のこのひと言に僕は傷ついた。あのキャラクターは、大将やみんなで一生懸命作ったキャラクターだ。あの頃はそのままでいいと言ってくれたのに、いまになってそんな風に言わなくても…、と大将に対して少なからず反感を覚えた。いまから考えると大将は、僕をいろんな色が出せるタレントに育てたかったのだと思う。しかし当時は、そんな大将の親心がわからなかった。僕はタレントじゃなくて、俳優なのだというアホな思いが先に立ち、結局、自分のスタイルを変えなかった、というより変える方法を知らない不器用な未熟者だった。演出家に要求されることができないタレント。これは出演者としては失格。失格ということはプロの世界では降板ということだ。番組が始まってワンクールが過ぎたころ、番組を降ろされた。「そんなんじゃ、数字は取れない、そんなんじゃ、いい芸人にはなれないよ」大将は口が酸っぱくなるほどそう言った。しかし、こっちは数字を取ろうなんて思っていな