真夜中の虹(page 149/280)[真夜中の虹]
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149「えっ!そうなの?」「なんか、そうらしいです」「彼女、おかしかったからなぁ…」「あの舞台は最初、彼女がスタイリストをするはずだったんですよねぇ?」「そうなんだよ、でも、ものすごく海外で買い物して....
149「えっ!そうなの?」「なんか、そうらしいです」「彼女、おかしかったからなぁ…」「あの舞台は最初、彼女がスタイリストをするはずだったんですよねぇ?」「そうなんだよ、でも、ものすごく海外で買い物してきたり、勝手に高い中古の衣装を買い付けてきたりして、請求書は全部こっちに回すから、お願いして降りてもらったんだ……もう、あのときは壊れていたよ…」「そうなんですか…」彼女とは会うことはなかったけれど、彼女も僕と同じ、河合監督と仕事がしたくて仕方がない人間のひとりだった。「河合病」にかかると、極端に表現に傾き、周りが見えなくなる。お金のことは二の次にし、必死になって良い衣装を集め、最終的に降ろされた。それこそ「河合病」の犠牲者だ。しかし、そんなSさんに同情する人間は誰もいなかった。あるとき、前方から、女性に支えられながら、酔っ払って歩いてくる男がいた。それは河合監督だった。監督たちはこっちに向かって歩いている。このまま行くと出くわすと思い、脇道に逸れた。彼を避けなければならない自分が嫌だった…。それから数週間後、河合監督が女優の家で首を吊ったと、テレビのニュースで報じた。部屋