真夜中の虹

真夜中の虹(page 146/280)[真夜中の虹]

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146の二科展にひっかけて「二火展」と呼ばれ、僕も初回の集まりに出かけた。このあたりのことは、女優荻野目慶子の本『女優の夜』に詳しく書かれているので、そちらの方をお読みいただきたい。僕は初回に参加しただ....

146の二科展にひっかけて「二火展」と呼ばれ、僕も初回の集まりに出かけた。このあたりのことは、女優荻野目慶子の本『女優の夜』に詳しく書かれているので、そちらの方をお読みいただきたい。僕は初回に参加しただけで、それ以後この会に行くことはなかった。いい大人がたくさん集まっては酒を飲み、監督が撮れないのは日本の恥、悪いのは今の映画界だと、大声を張りあげ、最後は愚痴大会になってお開きになる。そんな、集まりにはまったく興味がなかった。その会の真ん中で、嬉しそうにしている監督の姿を見るのも嫌だった。彼は有名な人たちに囲まれているだけで嬉しそうだった。オレにはこれだけの有名人が付いている、そう思い込んでは安っぽい安心を手に入れているようだった。そんなものは幻想でしかない。監督は、実はものすごく名誉欲の強い人間なのかもしれないと、そう感じたときから僕の「河合病」はゆっくりと冷めていった。河合監督と次に一緒に仕事をしたのは舞台だった。作品はロックンロールミュージカル「ACB?アシベ・恋の片道切符」。主演は田原俊彦、共演は富田靖子、桂三木助、ミッキー・カーティス等々。プロデュースは僕の所属事務所が引き受け、場所は日生劇場だった。ロカビリー全盛期の「新宿ACB」を現代に蘇らせる。そのコンセプトは面白かった。しかし、この頃の監督の演出にキレはなく、このミュージカルも作品としては消化不良に終わった。