真夜中の虹

真夜中の虹(page 145/280)[真夜中の虹]

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145第二八話「縊死」話を河合監督に戻す。映画「Ronin」が終わった後も、河合監督崇拝は続いた。他の仕事で共演する俳優さんやスタッフさんに、どれだけ河合監督が素晴らしいか、いかに俳優を大事にし、役柄に見....

145第二八話「縊死」話を河合監督に戻す。映画「Ronin」が終わった後も、河合監督崇拝は続いた。他の仕事で共演する俳優さんやスタッフさんに、どれだけ河合監督が素晴らしいか、いかに俳優を大事にし、役柄に見合うように追い込んでくれるか、そんなことを吹聴して回った。その姿があまりにも過激に映ったのだろう、周りの人たちは僕に「河合病」という病名を付けた。河合監督は、高卒でフジテレビに入社。ピンポンパンやムツゴロウシリーズなど次々にエポック的な番組を手がけ、当時は天才と呼ばれた。若手に厳しく、その才能を開眼させることにおいては定評があり、多くの才能を世に送り出した。早く監督と仕事がしたい、早く監督の次回作に出たい、熱病に冒されたように、毎日そればかり考えていた。しかし、映画「Ronin」が興業的にも作品的にも失敗に終わり、借金を背負った映画監督にすぐに仕事が来るほど、この世界は甘くなかった。監督は次の作品をなかなか撮れないでいた。そんなとき、監督を励まそうと数人の有名な俳優さんたちが周りに呼びかけ、毎月の第二火曜日に監督の所属する事務所に集まって酒を飲むことになった。誰が付けたか、この会は美術