真夜中の虹

真夜中の虹(page 143/280)[真夜中の虹]

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概要:
143をした。不慣れな僕の司会進行とは逆に、彼のスピーチは随分と場慣れしたもので、友人に喋っているのか、有権者に喋っているのかよくわからなかった。友人の結婚....

143をした。不慣れな僕の司会進行とは逆に、彼のスピーチは随分と場慣れしたもので、友人に喋っているのか、有権者に喋っているのかよくわからなかった。友人の結婚式ぐらい自分の言葉で喋って欲しかったと、昔のような親愛感を彼に対して持つことができず、ほとんど言葉を交わすことなく別れた。僕たちはどこで何をどう間違えてしまったのだろうか。たしかに、大人になるということは、「何か」を捨て、同時にそれまで拒んでいた「何か」を受け入れること。そうしないと生きていけないし、成長はできない。しかし、その「何か」がいったい何であったのか、それを知っているのと知らないでいるのとでは、その後の人生にとって何かが大きく違ってくる。失ってしまったものは果たして何だったのか…。彼もそれがわかれば、本来の優しさと明るさを取り戻せるに違いない。きっとお互い、もう一度自分の人生を見つめ直す時期なのだろう。