真夜中の虹(page 124/280)[真夜中の虹]
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124のご褒美だろうか、篠木ディレクターと三浦さんが最終回の一話前に、僕が主役の回を作ってくれた。内容は、死んだお母さんの話をするという、それまでの欽ちゃん番組にはないシリアスな内容だった。こんなことは....
124のご褒美だろうか、篠木ディレクターと三浦さんが最終回の一話前に、僕が主役の回を作ってくれた。内容は、死んだお母さんの話をするという、それまでの欽ちゃん番組にはないシリアスな内容だった。こんなことは番組が打ち切りになったからこそできること。大将も文句は言わなかった。台詞も自分で作っていいことになり、本番では三浦さんとふたり、一時間番組枠の約三十分近い時間をふたりきりで演じ切った。そして最終回。出演者一同、番組が終わる悔しさと寂しさで涙涙の収録になった。大将はじめ、篠木さんや三浦さんは、「何か困ったことがあったらいつでも相談においで」と言ってくれた。番組が終わる寂しさと悔しさ、それに加え明日からどうやって生活をしていけばいいのかという大きな不安、それが一塊となって心の中に流れ込み、僕は心をうまくコントロールできなくなっていた。役者というのは残酷な商売、先の予定が入っていなければ、たちまち「なんでもない人」になってしまう。役が付いてこそ役者。それ以外は家にいても、道を歩いていても、電車に乗っているときも、「なんでもない人」なのだ。僕はいったい何者なのだろう……。これからどこへ行くのだろう…。そんな気持ちが、渦を