真夜中の虹

真夜中の虹(page 121/280)[真夜中の虹]

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121「一九六〇年六月二十三日生まれです」「そう、偶然だ。家の娘は一九七〇年六月二十三日生まれ。血液型は?」「B型です」「それも偶然だ。僕の家は全員B型だよ。住まいは?」「〇〇です」「そう、僕の家は隣町....

121「一九六〇年六月二十三日生まれです」「そう、偶然だ。家の娘は一九七〇年六月二十三日生まれ。血液型は?」「B型です」「それも偶然だ。僕の家は全員B型だよ。住まいは?」「〇〇です」「そう、僕の家は隣町だよ。歩いて五分だ」人の縁とは不思議なもので、この人と会うことは昔から決められていたことのようだった。この人に切られるまではとりあえず役者を続けてみようと、最初の出会いで決めた。大将や三浦さんをはじめとする出演者一同は、一丸となって番組作りに励んだ。心血を注ぎ、日々のリハーサルにも熱が入った。大将の演出は妥協を許さなかった。時間がもったいないと、トイレにも行かせてもらえなかった。困っている様子が面白いと、「それ本番でできないか?」と言われた。大将は必死だった。陰り始めた人気にもう一度、ツキと運を呼び込もうと、知恵を振り絞ってギャグを捻ひねり出した。テレビ芸人の哀しき性を目の当たりにした思いだった。僕たちも番組を面白いものにしようと、大将の要求に必死になって応えた。連日の徹夜に、昼間も夜も働いている僕の身体はすでに悲鳴をあげていた。それでも、その甲斐あって、2%ぐらいまで落ち