真夜中の虹

真夜中の虹(page 120/280)[真夜中の虹]

電子ブックを開く

このページは、電子ブック 「真夜中の虹」 内の 120ページ の概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると、今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
120数日後、篠木さんから五十歳過ぎの落ち着いた感じの男の人を紹介された。「アトリエ・ダンカンの池田です」その人はアトリエ・ダンカンという中堅芸能プロダクションの社長さんだった。緊張しなが....

120数日後、篠木さんから五十歳過ぎの落ち着いた感じの男の人を紹介された。「アトリエ・ダンカンの池田です」その人はアトリエ・ダンカンという中堅芸能プロダクションの社長さんだった。緊張しながら、約二時間、たっぷり話を聞いてもらった。大勢の人と一緒にものづくりをするのは好きだけど、自分では役者には向いていないと思っていて、もしするのであれば個性的な役や人間の持つ狂気性を演じてみたいことや、バラエティには向いていないので大将の番組以外には出たくないことなど、おこがましくも自分の考えを伝えた。その人は、ニコニコと話を聞いてくれ、聞き終わると優しい口調でこう言った。「とにかく、まだ若いんだから思い切って僕に預けてみませんか、悪いようにはしませんから」「はい、お願いいたします」プロダクション入りは、あっさり決まった。それは同時に、サラリーマン生活に終止符を打つことで、今後は安定した生活はいっさい期待できなくなる。希望という言葉には、不安定という意味も含まれているようだ。池田さんは別れ際に、「生年月日聞いてなかったねぇ」と聞いた。