真夜中の虹(page 110/280)[真夜中の虹]
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110「そうよね…、でも、ちょっと考えてみて、悪い話じゃないと思うの」「考えは変わらないと思うけど」「三日だけ考えてみてよ、ね」そう言って電話は切れた。確かに悪い話ではない。こ....
110「そうよね…、でも、ちょっと考えてみて、悪い話じゃないと思うの」「考えは変わらないと思うけど」「三日だけ考えてみてよ、ね」そう言って電話は切れた。確かに悪い話ではない。こんな普通のサラリーマンに、テレビに出られるチャンスなんて滅多にない。ちょっとだけ気持ちがグラついたが、このときの僕は強かった。可愛い我が子、健康な妻、定収入。この、幸せ三点セットを絶対に手放したくはない。三日後、元マネージャーに電話を入れた。「すみません…」「そう…わかった。お断りの電話入れておくわ。じゃあ、お幸せにね」これでいいんだ。ちょっともったいない気はするけどこれでいい。それから一週間、元マネージャーから再び電話が来た。「あっ、ごめんね。三浦さんにはちゃんと伝えてもらったんだけど、どうしても本人の口から聞きたいって言うのよ、だから仕事先の電話番号教えちゃった」「教えちゃったって…本人から電話があるのかなぁ?」「まぁ、本人かマネージャーさんのどちらか」「わかった、オレの口から断るわ」