真夜中の虹

真夜中の虹(page 11/280)[真夜中の虹]

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11第ニ話「大火傷」暑い暑い、本当に暑い。こんなに残暑が厳しいと、ついついいろんなことに鈍感になる。誰かに何を言われてもすぐに反応ができない。先日も、「私、来月からバ....

11第ニ話「大火傷」暑い暑い、本当に暑い。こんなに残暑が厳しいと、ついついいろんなことに鈍感になる。誰かに何を言われてもすぐに反応ができない。先日も、「私、来月からバイト先で仕事を半分カットされますから、我が家の収入も当然半分になります」突然、家人からそう言われた。反応が鈍っているこっちは、なんて返せばいいのかわからない。というより、家人の言ったことの意味がよくわからないと言った方が正しいかもしれない。しかし、ここで何か返さないと、そのあとの家人の攻撃が怖い。この人の破壊力は他者を闇のどん底に突き落とすのだ。「大丈夫、僕たちは何も悪いことはしていないのだから…」思わずわけのわからない言葉が口を衝く。家人の悲しい眼差しがこちらに向く。スッと目線を外し、ぼんやりを装う。静かに玄関の扉は閉められ、家人は出ていった。いつから身に付けたか知らないが、事が大事であればあるほど、僕はいたって冷静に対処できる方法を知っている。