真夜中の虹(page 106/280)[真夜中の虹]
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概要:
106僕たちは結婚し、彼女は劇団をやめた。そして半年後、僕もやめた。ひとつの青春が終わり、生活というものに向き合うことになった。劇団をやめた後は、しばらくアルバイトで生活をしのいでいた。そんなある日、ガ....
106僕たちは結婚し、彼女は劇団をやめた。そして半年後、僕もやめた。ひとつの青春が終わり、生活というものに向き合うことになった。劇団をやめた後は、しばらくアルバイトで生活をしのいでいた。そんなある日、ガンで闘病を続けていた妻の父親が亡くなった。なんだか嫌な感じがした。僕と関わりを持つと、その周辺の人が死んでしまう…。きっと僕は、不幸を周りにふりまいているのだと、ひとりそんなふうに考え込んでいた。しかし、落ち込む間もなく女房が妊娠。義父の生まれ変わりだと言って、周りはとても喜んだ。父親になるのか…。生まれてくる子供のためにも、いつまでも不安定な生活をしているわけにはいかない。就職することを決意し、叔母に頼み込み、死んだ祖父の会社で働くことになった。そこは文房具屋と事務機器販売の会社で、祖父亡き後は叔母の夫(義理の叔父)が跡を継いでいた。事務機器販売というのは、消しゴム一個からコンピューターまで販売する、簡単に言えば、なんでも売っている文房具屋で、僕は毎日ネクタイを締め、営業に出ることになった。朝早く起き、自分を殺して会社のために駆けずり回る。そんな日々も悪くないと、サラリーマンの生活にも自然に馴染んでいった。そしてとうとう父親になる日が近付いてきた。妻は血液型がRH-(マイナス)だった。RH-の血液型の人はとても少ない。だからお産で輸血が必要になった場合、血の確保が大変になる。なので彼女は、出産に対してすごくナー