真夜中の虹

真夜中の虹(page 105/280)[真夜中の虹]

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105第一九話「妊娠」真夏に執り行われた祖父の葬儀が終わり、ホッとする間もなくひとりの女性と結婚をすることになった。相手は同じ劇団の女性で、歳はふたつ上。彼女と一緒になったいきさつはいろいろあ....

105第一九話「妊娠」真夏に執り行われた祖父の葬儀が終わり、ホッとする間もなくひとりの女性と結婚をすることになった。相手は同じ劇団の女性で、歳はふたつ上。彼女と一緒になったいきさつはいろいろあるけれど、最終的にふたりとも子供が大好きで、すぐにでも欲しいというのがいちばんの理由だった。結婚する前、彼女は劇団の座長、Yさんと付き合っていた。座長といっても僕らの貧乏劇団はよく座長が代わり、Yさんで3代目だった。僕は役者としてYさんを尊敬していた。劇団は、小劇団によくありがちな座長の独裁劇団だった。Yさんは女優では彼女を、男優では僕を可愛がっていた。逆に可愛がって貰えなかった連中は、いい役につかせてもらえず、次々とやめていった。Yさんは僕を呼び出し、結婚するのはいいが彼女をやめさせないで欲しい、と言った。半ば強制的に自分の考えを押し付けようとするYさん。尊敬していた分だけ、その強引さに嫌気がさした。この人はきっと女優としてよりも、セックスの対象として彼女を手放したくないのだ。そう思ったら、ひどく詰まらない男に見えてきた。ここもそろそろ潮時かもしれない…。