真夜中の虹

真夜中の虹(page 10/280)[真夜中の虹]

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概要:
10も「慣れ」はある。折れ線グラフで鋭角を描いた心の痛みも、歳を重ねるごとに鈍角になっていった。両親の心中から今年でもう二十三年。先日、十八歳の長女が....

10も「慣れ」はある。折れ線グラフで鋭角を描いた心の痛みも、歳を重ねるごとに鈍角になっていった。両親の心中から今年でもう二十三年。先日、十八歳の長女が名古屋の両親(彼女にとっては祖父母)の墓参りに、ひとりで出かけた。耳と臍へそにピアスを空けた茶髪の孫をあの人たちはどう思ったのだろうか。けしからん奴だと思ったのだろうか、まぁまぁと呆れただろうか、それとも……。どんな辛いことも時間がいつかは解決してくれる。長い年月という奴が、体内にこびりついていた痛みを、知らないうちに和らげてくれた。今日も大丈夫。そうやっていまも生きている。※追記あの夏から、もう三十年以上経った。ここに登場する娘は子供を産み、私は爺になった。心の方は随分丈夫になったけど、体と頭の方が壊れ始めている。それでもサッパリと生きようと日々努力している。現在、五十一歳。元気です。